更なる処遇改善について-2019年新処遇改善加算に関する議論(第4回)

11月22日に開催された介護給付費分科会で提示された新処遇改善加算に関する具体的な内容です。

基本的な考え方

○ 介護職員については、介護離職ゼロに向け、今後更にその確保が必要となる。これまでも他職種との賃金差等も踏まえ、処遇改善による人材確保等を進めてきたが、現状においても、人材確保等が極めて難しい状況があるため、処遇改善を一層進め、介護現場で長く働くことができる環境づくりや人材確保につなげていく必要。
○ このため、まずは、経験・技能のある介護職員に重点化しつつ、介護職員の処遇改善を行うこととし、その趣旨を損なわない程度において、その他の職種にも一定程度処遇改善を行うこととしてはどうか。

論点1:新処遇改善加算の対象事業所

<加算の取得要件>
○ 長く働き続けられる環境を目指す観点から、事業所の事務負担を考慮した上で、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われていることを担保するため、現行の処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)の取得を要件としてはどうか。

<加算率の設定>
○ 介護職員確保に向けた処遇改善を一層進めるとともに、人材定着にもつながるよう、経験・技能のある介護職員が多いサービスが高く評価されるようにしてはどうか。
○ その際、同じサービス種類の中であっても、経験・技能のある介護職員の数が多い事業所や、職場環境が良い事業所について、更なる評価をすべきとの意見がある一方で、これらの事業所がどの程度あるかのデータが
乏しいことや、実際に要件を満たしているか把握するための事務負担が増加すること、新しいサービス種類や新
しい事業所が要件によっては不利になること等を考慮する必要があることなど、どのように考えるか。

なお、議論の中で、経験・技能のある介護職員とは、経験10年以上の介護福祉士であると定義されています。その際の経験は、同一法人であることを必要とはせず、業界経験であるとのことですので、業界歴10年以上の介護福祉士の争奪戦が行われることが容易に想定されます(※1後述)。

論点2:事業所内での配分方法、処遇改善加算の対象

<事業所内での配分>
○ どの職種にどのくらい処遇改善を行うかは、一定程度事業所の裁量・判断で行う必要があると考えられるが、配分に当たっての要件として、①経験・技能のある介護職員、②他の介護職員、③その他の職種の順に一定の傾斜の設定等を行うことを検討してはどうか。また、一定の傾斜の設定等において留意すべき事項はあるか。

<処遇改善加算の対象費用>
○ 処遇改善加算については、介護人材の賃金改善に確実に結びつくことが重要との考えから、賃金改善のみに充てられるようにしてきたところであり、更なる処遇改善に当たっては、引き続き賃金改善のみに充てることとしてはどうか。

上記論点1で、新処遇改善加算の対象サービス・事業所を現行の処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)算定を前提としているので、訪問看護や居宅介護支援事業所はそもそもの対象とならないことがわかります。新処遇改善加算の対象となる介護サービス事業所のケアマネジャーや看護師などは、少ないながら新処遇改善加算の恩恵にあずかれることとなりそうで、新処遇改善加算の対象外サービス事業所と対象サービス事業所間の給与水準バランスに変動が起こるかもしれません。

 

勤続10年以上の介護福祉士の割合は各サービスともには少ない

出所:第165回 介護給付費分科会