東京都豊島区での混合介護(選択的介護モデル事業)

東京都豊島区が介護保険によるサービスと保険外のサービスを組み合わせた混合介護のモデル事業を平成30年度(2018年度)からスタートさせます。

混合介護については賛否両論あります(厚労省が後ろ向きで経済産業省が前向き)が、「保険外サービス活用ガイドブック」(2016年3月)が発刊されたり、公正取引員会が『混合介護を解禁することで事業者の効率や採算が改善し、介護職員の賃金増につながる』と提言したりで、少しずつですが、その機運が高まりつつあります(それでもその歩みはとても遅い、、、)。

しかしながら、地域包括ケアシステム構築の基本理念である「自助」「互助」「公助」「共助」のうちの「自助」をサポートする『介護保険外の豊富なサービスの選択肢が提供される』ことへのニーズが高まることは確実ですし、介護事業者にとっても付加価値を上げる良い機会になるはずです。

豊島区の取り組みですが、1年かけて取り組みのスキームを固めています。要点は以下です。

■事業内容
国家戦略特区の仕組みを活用して
〇豊島区内在住の要介護認定者に
〇介護保険サービスと保険外サービスを柔軟に組み合わせた提供を可能とすることにより
〇利用者の利便性向上や介護サービス事業者の提供効率向上等の効果を目指す
■提供形態
(1)指定訪問介護と保険外サービスを柔軟に組み合わせて提供するもの
(2)指定訪問介護と保険外サービスを同時一体的に提供するもの(国家戦略特区としての認定により実施可能)
具体的には、(1)又は(2)の形態で、以下の3つのテーマで実施➡訪問介護を前提

ⅰ)居宅内での選択的介護
指定訪問介護のサービスと、利用者や家族が選ぶ自費サービスを柔軟に組み合わせて、日常生活を支援するサービス
例;同居家族分の家事(調理・洗濯・掃除等)、庭掃除や客間の片づけ、本人と一緒に食事をする、ネット注文サポート

ⅱ)居宅外での選択的介護
指定訪問介護のサービスと、自費の外出支援を組み合わせることで、利用者の意向に合わせた外出を支援するサービス
例;日用品以外の買い物(介護給付ではできないデパート等への買い物)への同行、外出先への送迎

ⅲ)見守り等のサービス
指定訪問介護のサービスに加えて、自費によるICT機器等を活用した見守り等のサービス

当初は訪問介護のスタッフに「指名料」を導入するなどという話題が先行していましたが、介護での検討過程で、当面の実現の可能性は低いようです(継続検討する項目に整理)。
 

豊島区では、2018年8月にこの選択的介護モデル事業を開始する計画です。

介護事業の経営においては、介護職員の人材確保とともに付加価値の向上が欠かせません。時間軸は別として、混合介護がその一手段になることは間違いありません。この流れを「無視」するか、「脅威」と捉えるか。はたまた「機会」と捉え、次の一手を打つかどうかで、介護事業者の将来が決まっていきます。

 

出所:豊島区 選択的介護モデル事業に関する有識者会議