第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数

介護人材の必要数については、いろいろな調査や統計から論じられていますが、本件は「第7期介護保険事業計画」に基づく介護人材の必要数です。

介護保険事業計画は、3年ごとに3年を1期とする計画の策定が義務付けられており、2018年4月が新たな計画期となっています。都道府県並びに各自治体が作成することになっています。

(一例)
東京都高齢者保健福祉計画(平成30年度~平成32年度)

北区地域包括ケア推進計画

さて、第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数ですが、第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護人材の需要を見ると、2020年度末には約216万人、2025年度末には約245万人が必要とされ、2016年度の約190万人に加え、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人と、年間6万人程度の介護人材を確保する必要があるとしています。

 

上記は全国合計の数字ですが、介護人材の需給ギャップは都道府県差が極めて大きいという別の問題を持ち合わせています。2025年の推計需給ギャップは以下となっており、本件が特に首都圏や大阪近郊で大きいことがうかがえます。

 
人材確保は介護事業所だけでの課題ではありませんが、年間6万人もの介護職員の純増を目指すために、国の施策として以下の総合的な人材確保対策に引き続き取り組むとしております。

①介護職員の処遇改善
②多様な人材の確保・育成、
③離職防止・定着促進・生産性向上、
④介護職の魅力向上、
⑤外国人材の受入環境整備


※介護職員の総数は増加しているものの…

どれも抜本的な解決につながる有効打はありませんが、そもそもイメージのよくない介護職員を増やすには「他産業と比較して同水準の賃金を保障してはじめて(求職者からは)職業としての選択肢に入る」ことを認識して、それ以上の賃金水準に持っていくにはどうしたらよいかが各介護事業者に課せられた経営の要諦です。

また、これまで通りの採用活動をしていては、まったくもって結果にはつながらない(今後も悪化するだけ)ので、

① まず人を辞めさせないための仕組みづくり
② 労働法令の遵守をしていない事業者は採用してもすぐに職員が退職してしまうので速やかに最低限度の法令順守
③ ステップアップをしたい介護職員(良い人材)はステップアップできる仕組みがある事業所にしか定着しないのでキャリアコースの明確化
④ そのうえで、事業所独自の制度や環境整備を推進

に取り組む必要があります。① ~③は処遇改善加算を用いて構築できるので、加算Ⅰを取得していない介護事業者はできるだけ早くこれらを整備、また処遇改善加算Ⅰを算定していても制度が形骸化している介護事業所は再考が必要です。

出所:第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(厚生労働省)