介護保険部会における『介護人材の確保・介護現場の革新』に関する委員の意見

・ 介護人材不足といっても、大都市と地方では課題が異なり、異なる処方箋が必要であることに留意。
・ サービス量について計画をたてる際には人材の確保も考えることが必要。介護人材確保を介護保険事業計画の基本事項に位置付けて、各市町村において介護人材確保に関して計画をたてて取り組んでいくことが必要。
・ 在宅サービスに関する人材確保が課題となっており、特出しして取り組んでいくことが必要。
・ 介護の人材確保のためには、やりがいに踏み込んでいくことが重要。長く仕事を続けている方がどうして続けてできているのかという点に
着目して対策を検討すべき。
・ 介護人材の確保については、一時的に加えて継続的な確保が重要であり、介護人材の社会的位置付けも含めた検討が必要。
・ 離職が抑えられている事業所の特徴も踏まえながら対策を検討していくべき。
・ 介護職員不足は相対的な問題であり、要介護者を減らしたり、介護度を軽くするという視点もあるのではないか。
・ 介護人材確保のためには介護従事者への更なる処遇改善を早急に行うことが必要。
・ 現職の介護職が継続して働き続ける対策も重要であるが、介護職の間口を広げるため、新人の育成に重点を置くことが必要。
・ 保護者、教職員に対して、介護職員の処遇改善があることを周知し、理解を得ることが重要。
・ 数十万いるといわれる潜在介護福祉士に現場に戻ってもらう取組も大変重要。
・ 中山間地域や離島等の町村部では単独町村での人材確保には限界があり、広域的に人材確保を行う体制の構築を検討すべき。また、そもそも民間事業者が参入できるような支援策も検討すべき。
・ 新たな外国人材の受入れは介護現場の人手不足解消につながるものであり、着実に推進する必要がある。
・ 特定技能による外国人材の受け入れに当たり、生活環境の整備のための自治体への支援策の強化を行う必要。
・ 新たな外国人材について、海外からの人材のマッチング支援が必要。
・ 人材のすそ野を広げる取組が進められる中で、介護福祉士が果たすべき役割、機能を制度上明確に位置づける必要があるのではな
いか。
・ 人件費や離職率等の見える化や賃金制度の整備が重要。
・ 小規模事業者は労務管理、働きやすい職場環境整備に不得手なところも多い。ノウハウ支援が重要。
・ 離職理由として職場の人間関係が多いことを踏まえれば、職場環境改善のため専門職の相談員を設置することや外部の相談窓口を設置・活用することも考えられる。
・ 職員の評価を進めたり定着率が上がって待遇改善を行うほど事業所の収支バランスが崩れる状況がある。事業者が健全経営ができ
るように報酬体系の見直しを行うことが必要。
・ 元気高齢者による介護助手は現場の介護職員にも好評、離職率も下がっているというデータもあり、今後、より多くの施設で導入され
ることが求められる。
・ 専門職の高齢化が進む中で、リタイアした地域の中の人材も活用しながら、住民を巻き込みながら介護予防の取組などを進めていくことが必要ではないか。
・ 生産性向上や業務効率化に向けて、事業者や自治体任せにするのではなく厚労省がしっかり音頭をとって取組を進めるべき。
・ 人がやるべきこと以外は効率化を図ることが重要であり、ICT・ロボットの積極的な利用が必要。
・ 介護ロボット、ICT、業務改善、事務手続きの簡素化、職員配置の見直しなど、生産性向上につながる制度改正が必要。
・ 生産性向上のためには保険者への報告書等の標準化、ローカルルールの是正等、事務作業量の削減が必要。
・ ペーパーワークの徹底的な削減、ロボットICTの活用、申請書類の共通化などについて早急に実施し、介護現場における生産性向上を実現することが必要。
・ 介護ロボットやICTの活用は安全が確保される限りで進めていくべき。普及のためには導入費用への支援が必要。
・ 介護ロボット、ICTの活用について、機器同士の接続ができない状況もあると聞く。より便利に活用できるよう、機器事業者が協力する取組も必要。
・ ICTや介護ロボット活用の推進に対する更なる支援が必要。また、助成金等各種支援策について経営者への周知が必要。
・ 人手不足対応・業務効率化の観点からICT導入が進められているが、データフォーマットの不統一により紙媒体での情報共有が行われてしまっている。国が中心となってデータフォーマットの統一や共通プラットフォーム提供などを行うべき。
・ 業務の洗い出し・切り分けを行い役割分担を決めていく取組は重要であるが、その際、全体を把握し管理する役割を果たす専門職の存在が必要。また、利用者と人間関係を構築しながらケアを行うなど効率的ではない部分についても、重度化のスピードが抑制されているなどの部分を評価して収入などに反映させる仕組みをつくることが必要
・ 管理者について、管理業務に専念できる体制づくりや研修などによりしっかりと管理を行えるようにすることが重要。
・ 生産性向上の取組について、事業所への専門コンサルタントの紹介や導入費用の支援策も必要。
・ 経営の効率化や安定化により利用者が安心して介護を継続して受けられるようにすることが必要。人手不足を前提とすると、生産性向上が必要であり、その観点からは事業者の大規模化を進めていくことも必要。ICTやロボットの共同購入、研修や事務処理の共同化を進めることも考えられる。
・ 生産性向上について、効率化は重要ではあるが、介護の仕事の中には効率化になじまない業務もあり、その点を再確認した上で取組をすすめていくことが重要。
・ 現場の介護職が実際に感じている働きがいや魅力を把握して、広く社会に発信していくことが必要。
・ 介護の魅力発信について、現場の生の声を発信し、効果も検証しながら、魅力ある仕事であることを理解してもらう働きかけが必要。
・ ICTなども活用しながら、家族が介護の現場をみて、子どものときから介護の仕事を知る機会を設けたり、地域の応援団を増やして介護現場を地域全体で応援する仕掛けづくりができないか。

出所:介護保険部会 2019年10月9日