一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策「「介護離職ゼロ」に直結する緊急対策」

我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」の実現への取り組みの一つとして、介護人材の確保が大きなポイントの一つにあげられています。
 
 
 
 

■高齢者の利用ニーズに対応した介護サービス基盤の確保

○2020 年代初頭までに、介護サービスが利用できずやむを得ず離職する者をなくすとともに、特別養護老人ホームに入所が必要であるにもかかわらず自宅で待機している高齢者を解消することを目指し、現行の介護保険事業計画等における約 38 万人分以上(2015 年度から 2020 年度までの増加分)の整備加速化に加え、介護施設、在宅サービス及びサービス付き高齢者向け住宅の整備量を約 12 万人分前倒し・上乗せし、約 50 万人分以上に拡大する。
○用地確保が困難な都市部等において、賃料減額といった国有地の更なる活用や用地確保に係る負担を軽減するための支援を充実させ、併せて施設に係る規制を緩和することにより介護施設等の整備を促進する。複数の介護サービス基盤の合築等による規模の効率性を働かせた施設整備や既存資源を有効活用するための建物の改修を支援する。
○介護する家族の就労継続への支援に効果的な介護サービスの在り方等を的確に把握するための調査手法の開発及び自治体による調査の実施により、第7期介護保険事業計画策定への活用を図る。
○サービス付き高齢者向け住宅の整備を加速する。加えて、当該住宅に併設する地域拠点機能の整備も支援する。

 
 
■求められる介護サービスを提供するための人材の育成・確保、生産性向上

○介護人材の確保を図るため、離職した介護職員の再就業支援、介護福祉士を目指す学生等への返還免除付き学費貸付の大幅な対象拡大、キャリアパスの整備を行う事業主に対する助成の拡充などを行う。
○介護人材の離職防止のため、介護機器企業の育成支援などにより介護ロボットの活用を進め、介護人材の負担軽減を推進する。また、介護事業の生産性向上のため、ICT の活用や作成文書の削減・簡素化による文書量の半減など、事務負担の軽減を推進しつつ、業務プロセスの改善を図る。

 
 
■介護する家族の不安や悩みに応える相談機能の強化・支援体制の充実

○介護に取り組む家族のための総合的な相談機能を地域・職域を通じて強化する。また、介護と仕事の両立についても、地域包括支援センターにおけるケアマネジャー(介護支援専門員)が助言できる体制を整える。さらに、ボランティア等による認知症の人の居宅訪問や民間による見守りサービスの育成・展開など家族に対する支援を推進する。
○介護が必要になったときに速やかにサービスの利用ができるよう、国及び自治体において、介護保険制度の内容や手続きについて住民への周知徹底を図る。

 
 
■介護に取り組む家族が介護休業・介護休暇を取得しやすい職場環境の整備

○介護休業を利用しやすくするため、対象家族 1 人につき 93 日取得することが可能な休業を、分割取得できるよう制度の見直しを検討する。また、介護休暇について、より柔軟な取得が可能となるよう検討する。
○介護休業の前後で所得を安定させるため、介護休業給付の給付水準(40%)について、育児休業給付の水準(67%)を念頭に引上げを検討する。

 
 
■元気で豊かな老後を送れる健康寿命の延伸に向けた取組強化

○国の医療データベースの基盤を整備・強化するとともに、レセプトを分析して個人に対する健康指導等を行う先進的なデータヘルスの取組の全国的な横展開を通じて、生活習慣病等の重症化予防など、民間のノウハウを活用した健康寿命の延伸に向けた取組を推進する。
○個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを付与する取組の拡大等の目標達成のための支援を行う。
○高齢者の低栄養、心身機能の低下の予防のための保健指導等を推進する。
○市町村の効果的な介護予防等の取組の先進事例の横展開を推進する。

 
 
■生きがいを持って社会参加したい高齢者のための多様な就労機会の確保、経済的自立に向けた支援

○アベノミクスの成果の均てんの観点から、賃金引上げの恩恵が及びにくい低年金受給者に支援を行う。
○高齢者が安心して働き続けられる環境を整備するため、高齢者が働きやすい環境をつくる企業、NPO や起業を支援するとともに、雇用保険の適用年齢の見直しを検討する。
○高齢者が多世代と交流しながら活躍できる地域づくりを進めるため、生涯活躍のまち構想について、必要な法制を含め制度化を検討する。
○高齢者向けの仕事の紹介機能を強化するため、高齢退職予定者のマッチング支援を行う。また、シルバー人材センターの「臨時的」・「短期的」・「軽易」という業務範囲限定の要件緩和など、地域の実情に応じた高齢者の社会参加を促進するための制度の見直しを検討する。
○企業年金・個人年金の普及・拡大や公的年金の改革を進め、公私を通じた年金水準の確保を図る。

 
出所:「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」