更なる処遇改善について-2019年新処遇改善加算に関する議論(第3回)

新処遇改善加算を考える上での論点(具体的には対象と配分方法)が一様に提示されました。

論点

新しい経済政策パッケージにおいて考慮している視点を踏まえ、更なる処遇改善について、これまでの介護給付費分科会での議論も踏まえ、「重点化」及び「柔軟な運用」の在り方を含めどのような方策が考えられるか。

対応策

○ 更なる処遇改善について、今後も確実な処遇改善を担保していくためには、介護報酬における加算で対応することが現状においても必要ではないか。対応に当たっては以下のとおり考えてはどうか。

<基本的な考え方>
○ 介護職員については、介護離職ゼロに向け、今後更にその確保が必要となる。これまでも他職種との賃金差等も踏まえ、処遇改善による人材確保等を進めてきたが、現状においても、人材確保等が極めて難しい状況があるため、処遇改善を一層進め、介護現場で長く働くことができる環境づくりや人材確保につなげていく必要。
○ このため、まずは、経験・技能のある介護職員に重点化しつつ、介護職員の処遇改善を行うこととし、その趣旨を損なわない程度において、その他の職種も一定程度処遇改善を行うこととしてはどうか。

<事業所内での配分>
○ どの職種にどのくらい処遇改善を行うかは、一定程度事業所の裁量・判断で行う必要があるが、配分に当たっての要件として、①経験・技能のある介護職員、②他の介護職員、③その他の職種の順に一定の傾斜の設定等を行うことを検討してはどうか。

○ その際、経験・技能のある職員については、勤続年数10年の介護福祉士を基本としつつ、同一の事業所や法人だけでなく介護業界での経験を評価すべきといった意見や、形式的な資格だけでなく技能を幅広く評価できるようにすべきとの意見を踏まえ、一定柔軟に運用できるようにしてはどうか。

<加算の取得要件>
○ 介護現場として長く働き続けられる環境を目指す観点からは、まずは、一定のキャリアパスや研修体制が構築されていることを求めてはどうか。さらに、その具体的な取組の見える化等を促すことも検討してはどうか。

<各加算率の設定>
○ 介護職員確保に向けた処遇改善を一層進めるとともに、人材定着にもつながるよう、経験・技能のある介護職員が多いサービスが高く評価されるようにしてはどうか。

○ また、現在対象としていない訪問看護等について、対象サービスとして評価すべきとの意見もある一方で、介護職員の処遇改善が先決との意見もあるがどのように考えるか。

<処遇改善加算の対象費用>
○ 処遇改善加算については、介護人材の賃金改善に確実に結びつくことが重要との考えから、賃金改善のみに充てられるようにしてきたところであり、「新しい経済政策パッケージ」でも、介護職員の更なる処遇改善を進めるとされている。このような中で、更なる処遇改善の対象費用についても、現状の他職種との賃金差の状況や、更なる賃金改善を求める意見等を踏まえ、引き続き賃金改善に充てることとしてはどうか。

○ 他方で、処遇改善の対象費用を拡大し、賃金以外の研修や職場環境の改善等に柔軟に活用できるようにすべきではないかとの意見もあるがどのように考えるか。

 

出所:第163回社会保障審議会介護給付費分科会