「経験・技能のある」介護職員とは?ー特定処遇改善加算の算定条件等
2019年10月に施行される特定処遇改善加算の主たる算定対象である「経験・技能のある介護職員」の定義に関しては、
(1)勤続10年以上の介護福祉士を基本とし、介護福祉士の資格を有することを要件としつつ、
(2)勤続10年の考え方については、事業所の裁量で設定できることとする
とされています。
ここで問題のなるのが、『事業所の裁量』の定義です。
2019年3月6日開催の介護給付費分科会では、この点について厚労省案の提示と部会委員による議論が行われました。
厚生労働省から提示された対応案
【前提論】経験・技能のある介護職員を設定するに当たり、「勤続10年以上の介護福祉士を基本」とするものの、
【例外運用】「勤続10年の考え方」については、
・ 勤続年数を計算するに当たり、同一法人のみの経験でなく、他法人や医療機関等での経験等も通算できること
・ 10年以上の勤続年数を有しない者であっても、業務や技能等を勘案し対象とできること
等、事業所の裁量を認めることを検討してはどうか。
例外運用の後者(10年以上の勤続年数を有しない者であっても、業務や技能等を勘案し対象とできる)を能力評価として対象とすることは正しい考えではありますが、人事評価をきちんと運用できていない介護事業所にとっては少々厄介や取り決めと言えるのではないでしょうか。
特定処遇改善加算のスタートは2019年4月ではなく10月なので、Q&Aなどの発表から施行までの準備期間がある点で2017年の処遇改善加算のような混乱はなさそうですが、導入に向けた準備がそれなりに必要とされる『難しい』制度であることは間違いありません。
また、ここにきて、景気後退局面に突入の可能性が高いとの見通しを示されており、10月に控えた消費増税を前提とした特定処遇改善加算の行方もまだまだ予断ならないと言えそうです。