新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会 報告書
「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会 報告書」は、医療を取り巻く構造変化(「働き方の変革」「需給・偏在対策」「医療・介護連携の深化」「テクノロジーの変化等」)から、今後の医療提供の在り方について、介護の視点も含めてグランドデザインされています。つまり、検討会タイトルの「医師・看護師等」の「等」には「介護職員」が含まれるという点も鑑み、注視すべき報告書です。
〇介護従事者の現状課題認識
ニーズが拡大・多様化する中、過重な負担、スキル形成の難しさ、人材・組織・事業マネジメントの未熟さが相まって、展望を描けずにいる介護事業者も少なくない
〇新たなパラダイム
今まで | これから | |
働き方 | ・組織、職種のヒエラルキー
・個々人の自己犠牲 ・男性中心の文化 |
・患者を中心としたフラットな協業
・組織職能の枠を超えた協業・機能の統合によるパフォーマンスの向上 ・「単能工」的資格業務に加えて、「多能工」的資格業務の推進 ・自己犠牲を伴う伝統的な労働慣行の是正 ・性別年齢によらないキャリア形成・働き方を支援 |
医療の在り方 | ・医療は専ら疾病の治癒回復を担う存在
・患者像を画一的にパターン化したサービスの提供 ・評価軸が乏しく個人・事業所・地域レベルでサービスの質にばらつき |
・医療は保健、介護、福祉とフラットに連携しながら、予防・治療から看取りに至るまで、患者・住民のQOLを継続的に向上
・患者、家族や地域社会の個別性、多様性、複雑性に対応した創造的なサービスのデザイン ・アウトカム指標・評価方法の確立とそれに基づく効果的なサービス提供 |
ガバナンスの在り方 | ・全国一律のトップダウンによるリソース配分の決定とコントロール | ・地域と住民が実現すべき価値、ニーズ、費用対効果を判断しながら主体的に設計
・地域の発展的なまちづくり、経済活動、持続的発展を支える基盤 |
〇高い生産性と付加価値を生み出す具体的なアクション
・タスクシフティング/タスクシェアリングの推進
・科学的に裏付けられた介護の具現化(ICTを活用したデータの収集分析→アウトカム評価→介護の質向上)
・介護保険内、保険外サービスの柔軟な組み合わせと価格の柔軟性の推進